ワインの中で、ピノノワールはそれぞれの産地や生産者や出来た年で個性があります。その中でも畑仕事を丁寧にして、ちゃんと収穫量を落として完熟したブドウを使用したワインは、それぞれ際立った個性がありながら、とても繊細な違いを楽しめます。
ピノノワールは、大雑把に言うと軽めの味なので、しっかりめの味がお好きな方には敬遠されがちな品種。それでも奥深い違いを楽しめる品種でもあり、その違いがわかるとワインのことが面白いかもと、深くワインの世界に入るきっかけを与えてくれるブドウ品種でもあります。味や香りの違いを楽しむよりは、少し意識して自分の中で違いを知ることができれば、一つ一つワインの違いを知ることができると思います。
僕はピノノワールという品種を初めはどれも似ているなと思っていましたが、フランスのブルゴーニュ地方のピノ・ノワールを飲んでからアルザス地方のピノ・ノワールを飲んだ時に、「うわっこれは違う」というのがはっきりわかり、ワインって面白いなと思いました。
本日ご紹介するワインは、フランス北部のアルザス地方のピノノワールで、ピノノワールの中でも面白く個性的な光を放っているワインです。
アルザス地方は、冷涼地で、太陽の光が獲得するのが難しい場所です。一般的に寒い場所ではブドウの完熟が難しいので、糖度を上げにくいとされています。そんな場所で収穫量を徹底して落として土のミネラルをふんだんに含み、完璧に完熟したブドウのみでワインにするルネフライトは、みずみずしくてブドウ本来のフルーティーさを楽しめて、かつピュアでとても美味しいワインだと思います。
寒い場所なのでふくよかな味わいではないのですが、きめ細やかな繊細な果実味で「おっ!しっかりブドウの味があるやん」と、安心した先にキレのある酸味がやってきます。
ただ酸味があるだけではすっぱいだけですが、完熟したブドウを使用しているので心地よい酸味の奥に、チャーミングな蜜の味があります。あと独特な香りがあり、このアルザス地方ならでは個性がクセになる美味しさ。ハーブのクローブや紅茶のニュアンスがあります。
少し冷やしても元々ある香りが豊かなので、香りが消えず、軽やかで繊細でエレガントなワインを楽しめます。これからの季節におすすめの一本です。