飲食店さんのスタッフさんの悩みを聞いておもったこと

飲食店さんのスタッフさんから、こんな悩みを聞きました。

「自分はそんなにワインに詳しくないけど、自分よりワインに詳しい人が来られた時に、説明できるか自信が持てなくて萎縮してしまう。何を話したらいいのかわからないんです」

その話を聞いて、僕が感じたことを書いてみます。

ワインは一期一会で全てが新鮮な体験。

ワインに詳しい人でも、すべてのワインを網羅しているわけではありません。

むしろ、どんなに詳しくても、目の前にあるワインはその人にとっても「一期一会」だと思います。

たとえばその方がワインに詳しかったとしても、今このお店にどんなワインがあるかは知らないし、仮に知っているワインがあっても、飲んだヴィンテージ(年)によって味わいは変わることもある。

同じワインを知っていたとしても、「飲んだことがある」という安心感があるだけで、それがすべてではない。

そして、ワインに詳しい人ほど「知らないワインに出会うこと」や「想像と違う味わいに驚くこと」にも楽しみを見出している気がします。

ワインに詳しい人とはどういう人かを僕なりに書くと、

ワインを知っている人というのは、たくさんのワインの中から選べる判断軸があり、シーンに応じてどんなスタイルがいいかを考えられる人。

たとえば、その場で誰と飲むのか、お連れの方はワインに詳しいのか、あまり詳しくないのか。飲む量は少なめなのか、しっかり飲むのか。

そういうことを考えながら、「どうやってその場を楽しい時間にできるか」を想像しながらワインを選ぶことができる人なんじゃないかと僕は思います。

そうなると、実はワインに詳しい人ほど、お店のスタッフさんに対して質問の質が高くなると思います。

今のお店のワインを一番知っているのは誰か?

それは当たり前ですが

そのお店に置いてあるワインについては、スタッフさんが一番詳しいはずです。

・どんな味か

・どんなお料理と寄り添うか

・お客様からどんな評判か

それって、他の誰よりもわかっているはず。

そしてそれは、誰かに真似できるものではなく、日々の接客から生まれた宝物のような情報です。

詳しい人も、スタッフさんに聞くことで「このお店のワイン」を理解して、自分の知っているもの、知らないものを把握して、会話をしながらワインを選んでいく。ワインに詳しい人でも、出会いはいつも一期一会です。

ワインは飲んでみないとわからない

ブドウや産地、造り方など、詳しい人は飲む前からある程度の想像はできます。

でも、実際に飲んでみないとわからないのがワインの面白さだと思います。

想像と違う味わいに出会うこともある。

だからこそ、どんなに詳しい人でも「全てを知っている」ということはありえません。

むしろ、本当に詳しい人というのは、「自分が何を知らないかを知っている人」だと思います。

そのお店で飲むワインには、意味がある

そのお店で、そのワインを飲む。

それは、同じ銘柄のワインをワインショップで買うのとは違う意味を持ちます。

なぜなら、そのワインを誰が選び、誰が提供してくれているかが、ワインの体験に入り込み提供者の世界観を味わうことができる経験だからと思います。

思い出したエピソードがあります。

取引先のBARに、ジャックダニエルがずらりとカウンターに並んでいました。

そのオーナーさんは若い頃にジャックダニエルをよく飲んでいたそうで、とても強い思い入れがあるとのこと。

その話を聞いたあとで、そのBARでジャックダニエルを飲むと、なぜか味が違うように感じたんです。

お酒って、その人の思いが入ることで、雰囲気や体感が変わるんだと思います。

「味が変わる」と言うと大げさだけど、「空気が変わる」という感じがします。

今まで知っているお酒だけど、そこで飲むとなんか違う気がする。

不思議だけど、そう感じました。

ワインに詳しい人が来たらどうしよう

そう思う気持ちはわかります。でも、その前にやることがあると僕は思います。

それは、今お店に置いているワインを、しっかり知ること。

そして、自分の言葉で話せるようにすること。

それだけで、きっと大丈夫かなと書きながらも思いました。

なにより、それが一番、お客様の心に届くのではないかと思います。

スタッフさん自身が、お店のワインのことを自分の言葉で伝えられたら。

きっと、それだけでお客様との会話が少しは変わるはずだと思います。

ワインが詳しい人がお店に来ても、今やれることをやれば大丈夫。そんなことを思い、今やっていることに自信をもってほしいなと思い書いてみました。読んだ方の気持ちが少しでも楽になれば嬉しいです。