「すっきりとして飲みやすい白ワインがほしいです」
そんなご相談を受けて、2,000〜3,000円くらいまでで、まず3本をご提案しました。

1本目は、ロワールのソーヴィニヨン・ブラン。
華やかな香りがありながら、軽やかでキレのあるタイプ。
2本目は、イタリア・ヴェネトのソアヴェ。
みずみずしくて、ほのかに白いアーモンドのような風味がある辛口。
そして3本目が、ローヌ地方のモンジュ・グラノンのシャルドネ。
温暖な地域らしく酸は穏やかで、果実味にふくらみのある白ワインです。
僕の中では、この3本を並べるとモンジュ・グラノンは少し”ふくよか寄り”。
するとお客様が、
「左のモンジュ・グラノン、前に買いましたよ。私の中ではあれ、すっきりしたワインでした」
と。
その言葉を聞いた時、「ああ、人の感覚って本当にそれぞれなんだな」と改めて思いました。
僕の中では”少し濃いめ”という認識だったワインが、その方にとっては”すっきり”。
考えてみれば、その方が普段どんなワインを飲まれているか、どんな味を基準にしているかで、「すっきり」の感覚は変わりますよね。
だからこそ、「おすすめする」だけではなくて、“どう感じたかを聞く”ことが、接客の中でとても大切なんだなと思いました。
それと、もうひとつ面白いことがあって。

僕の中では、どちらも”しっかりめ”の白ワイン。カブリアックのヴィオニエと、ジャンマルク・ボワイヨのレ・ロック・ブラン。
以前カブリアック・ヴィオニエを飲まれたお客様が、その後にボワイヨを飲まれて、こう言われました。
「ヴィオニエが軽く感じてしまいました。ボワイヨの方がしっかりしていて、私はこっちが好きです」
比べる対象によって、印象はこんなにも変わる。
「軽い」「重い」「すっきり」「濃い」って、絶対的なものではなくて、その人の経験の中で決まっていくものなんですよね。
だから僕は、ワインを説明する時に「これはこういうワインです」と決めつけるよりも、“どう感じましたか?“を聞く方が好きです。
その会話の中で、その方にとっての「好き」が少しずつ見えてくる気がしているから。
ワインって、正解を探すものではなくて、自分の感覚を知っていく飲み物なのかもしれません。
