「選ぶ人を、信頼する」

「なぜカーヴ田中屋はマキコレワインのみなの?チーズも他にもたくさんあるけど、ミテスさんのチーズなの?」とよく聞かれます。

自分なりにちゃんと答えてみようと思いました。

マキコレワインを初めて5本並べて飲んだとき、
不思議な感覚がありました。

どれも、同じ空気をまとっていたように思えた。

品種も産地も違うのに、ぶどうの味わいがきれいで、後味が長くて、綺麗。飲み終わってから、ブドウの余韻がしばらく残っている。

大げさかもしれないですが、一口飲んで、ぶどう畑が見えたような気がした。

どうしてこんな共通する部分がしっかりあるものを、選べるんだろうと不思議だった。ただテイスティングして、これ美味しい、これ美味しくないって、だけで選んでいなくて、もっと深い部分を感じたり知ったりして選んでいる。

当時の僕はワインの知識もほとんどなかった。日本酒が好きで、お酒の勉強をしたくて教えていただきたくてバイトに入った、ただそれだけの人間だった。

でも一口飲んで「これ本物だ」と思った。すごい。素晴らしい、これは絶対に多くの人に喜ばれる、このワインを飲んだ人はきっと幸せな気持ちになると強く感じた。それは今でもよく覚えている。

知識はないが直感みたいなものがあった。

のちに金井麻紀子さんから、選んだ理由やコンセプトを聞いたら納得できた。

良いワインとは、良いぶどうから生まれる。それを知っていて、良いぶどうを育てている生産者を探して、その畑に出向いて、その人の仕事をリスペクトできる人間だけが、こういう選び方ができる。

金井麻紀子さんはそういう人だと感じた。生産者も、麻紀子さんのことを「ワインをわかっている人だ」と認めている。だから本音で話せる。

ワインは若いうちは味の要素がバラバラで、熟成することで調和していく、ワインのポテンシャルについても熟知している。そういう時間の話も、生産者と共有できている人。

フロマージュ・ド・ミテスのチーズも、同じ雰囲気がした。

一口食べて、ミルクだと思った。チーズってミルクでできてるんだ、と今さら気づくような、はっきりとしたミルクの味わい。

濃厚なのに、くどくない。これも、ただ、並んでいるチーズを一つ一つ食べて選んできたとかではないと思います。

良いチーズは良いミルクから生まれると知っていて、良いミルクで良いチーズを作っている人と出会い、その人と信頼関係を結んで仕入れている。

当店が扱っているのは、そういうものかなと思う。

試飲して、食べて、おいしいから仕入れた。美味しいから選んだ、だけじゃない。

美味しいものを作れる人を、見抜ける人が選んだものを信頼して、扱っている。

その信頼の連鎖を、お客さんに渡したいと思っています